課題3 わたしが考えるこれからのレファレンス

●<課題2>を終えて●

「レファレンスをするときに、まずインターネットで調べるのは感心しない。」
以前受けたレファレンスの研修では、こんな言葉を聞きました。


これはもちろんインターネットを否定するからではなく、
レファレンスの初心者が基本的な調査資料の使い方を覚えるため(だと思います)。
安易にネットで情報にたどり着いては勉強にならないからです。
研修の最後のほうでやっと、ネットでの検索方法なども教わりましたが
ネットの情報は公的機関のHPなどを除いては信頼に足るものが少ない、
という概念も教わり、
レファレンスにインターネットは×なのね、としばらくは思っていたものでした。


実際は、所蔵のない未発売の書籍を調べるのをはじめ、
知らない言葉はまずウィキベディアで、ということも日常なわけですが。
情報の世界はネットがなければ夜も日も明けぬ。


今回は大手を振って(?)ネットだけでのレファレンスができました。
日々のちょっとした疑問を
「レファレンス協同データベース」「知識検索」を使って調べてみる。


◆「レファレンス協同データベース」
わたしが選んだ質問に、こちらからの回答はできませんでした。
レファレンス事例が「日常の些細な疑問」に対応しないのかもしれません。
また、対応する必要もないのかもしれません。


◆「知識検索」
ぱっと読んで、すぐに答えがわかるものが多い。
ひとつの質問に数人〜数十人の回答があり、関連した質問なども載っているため
効率的に答えを並べていくことも、絞り込んでいくこともできます。
ただ、ほとんどがどこからの情報なのかわかりません。
きちんと調べたらしきものもあり、とても詳しいけれど出典がないため本当なのか?
と思ってしまいます。
うろ覚えですが…といった引用。回答者の経験や意見だけでりっぱに回答されているものも。


自分ひとりが疑問に思い、これらの知識検索を使って調べ、
だいたいこういうことなんだね、と納得するには充分だと思いますが、
人様の疑問に答える場合は
「こういう説があるみたいだ…よ」と少し自信のない答え方になります。
宗教や思想などにかかわる問題には
感情的な意見や「なりすまし」らしき質問・回答もみられ、
検索ツールとしてどこまで信用できるのか判断できません。


ところが回答してもらう側になると、これがとても嬉しい。
完璧な答えが出ず、部分的にわかっただけでも意外と納得できる。
なぜだろう?と考えてみると…質問自体が切羽詰ったものでないということと、
自分がその答えを「信用できそう」と心の中で思っているからです。
「受講生同士だもんね」という信頼感が作用している気がするのです。
そして回答を受け取ったからには、それをどう使うかは自分の責任。
信用しても、しなくてもあとは自分の問題。
だから納得できるのだと思います。

●レファレンスの限界からレファレンスを再考する●

第5回の講義で提示されたレファレンスの問題点から。
1.量的なバランスの欠如(利用者に対して図書館員が圧倒的に少ない)
利用者とレファレンスを通してじっくり向き合いたいけれど、
実際の業務では量的な限界がある。人が足りない。
これは実際の業務で実感するところです。


解決策→→→→→図書館人事に関しての意識を変える。
情報と人を結びつけるのはやはり人である、という認識の図書館にする。
具体的には人件費を増やす。
インターネットを使いこなすのも、参考資料を神業のように繰るのも、人なので。
正規の公務員でも委託業者の社員でも常に専門職の意識をもつ組織にする。
医者のような生死を左右する存在でないせいか、図書館員は専門性が軽んじられているのでは?
人類的に長い目でみていくと、知の生死を分ける存在かもしれません(大きく出ました)。


2.双方の心理的圧力(利用者の心理的劣等感に対しての図書館員の
               心理的優越感と完璧志向)
こんなことを聞いていいのか、と利用者が思えば、
なんでも知ってると思われてるんだろうな、と図書館員が緊張する。


解決策→→→→→館内の雰囲気をWelcomeなものに
図書館が近寄りにくい建物だったのはもう昔のことになったと思いますが、
それでもまだ、カウンターの中と外の間には見えない壁があるかもしれない。
大きな文字で「ご相談はお気軽にどうぞ」とカウンターの目立つところに表示する。
年配の利用者も子供もよくわかるように。


私の勤務館ではイラストを自由に描いて投函する箱があり、
青少年コーナーの掲示板で公開して、月一度の館内整理日に張り替えています。
小中学生に人気です。
そのレファレンス版をやってみる。
公開を前提に質問を募集して回答します。
質問者の名前は公開されませんが、いたずらを防止するために
利用カードの番号を記入してもらいます。
これもひと月ごとに入れ替えるので、質問の性質は急ぐものでないことを前提にします。
潜在的な利用者の「知りたい」を満たすものになるかもしれません。
図書館員も落ち着いて調査できます。ネットでも公開します。


3.学びあう機会の喪失(一つの質問に対し、図書館員のみからの回答)
一つの質問に一人で回答して完結。別の答えもあるかもしれないのに。
チェック機能が欠如している、学びの余地がなくなるということ。


解決策→→→→→集合知の活用
データベースやネットワークを活用して幅広い回答を得る。
今回使った知識検索なども、どういう性質のものか利用者に説明して
日常的に活用することを視野に入れてもいいのではないか。


みんなで知恵を出し合いながら即時回答していくという、
チャットのようなシステムを取り入れることができたら
とても助けになると思う。可能だろうか?


いずれにしても、図書館員はいつでもどこでも知恵袋を満たす努力を
怠ってはいけないのだと思います。